近年、幼稚園保育園・小学校でグラウンドを芝生にする学校が増えてきました。特に東京都では、教育環境の充実のために、都内全公立小中学校等の芝生化を都が率先して推進しています。

では、芝生は子どもに成長にどのような効果を与えるのでしょうか?今回は、身体的、精神的に分けて芝生化する効果を調べてみました。最後に子どもと一緒に遊ぶことが出来る大きな芝生スポットもご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。

目次

    芝生があることによる子どもへの効果:
    身体的効果

    地面が芝生だと、子どもの身体にどのような良い効果があるのでしょうか?休日に芝生の公園に行くと子どもが思いっきり遊んでいる姿を見ることができますよね。

    調査の結果からもわかるとおり、地面が芝生になっていることで、子どもの体力がついていることがわかりました。さらに、怪我をする可能性が低くなり、熱中症になりづらいこともわかりました。

    子どもに怪我はつきものとはいえ、できることなら怪我はしてほしくないもの。また、年々気温が高くなって熱中症も増えているため、親は注意したいところです。調査の実験結果からご説明していきます。

    芝生が子どもに与える効果①
    体力がつく

    男子 女子
    芝の歩数(1週間の平均) 16,202 14,432
    土の歩数(1週間の平均) 14,858 12,197

    長野市のある保育園で、芝生化とした園庭と土の園庭の環境の違いが子どもの運動能力にどのような影響を及ぼすのか調査を行いました。

    すると、芝生の子どもの方が土の子どもよりも2,000歩近く多く歩いている、という結果となりました。芝生の方が子どもが積極的に外に出て遊んでいるということがわかります。

    さらに、子どもの運動能力も数値的に上昇していることがわかりました。

    男子 25m走 6.27秒 6.54秒
    立ち幅跳び 114.7cm 106.8cm
    後方ハイハイ走 6.70秒 7.48秒
    女子 25m走 6.9秒 6.80秒
    立ち幅跳び 100.7cm 94.8cm
    後方ハイハイ走 8.76秒 9.38秒

    芝生で歩数が増えたことで特に下半身が強くなり、脚力が高まっていることがわかります。

    子どもと芝生の上で遊んでいるとわかりますが芝生はフカフカしているので、足の負担になりにくく、怪我の心配もありません。こうした環境で子どもは思いっきり外で遊ぶことができるようになります。

    出典:園庭環境の違いが幼児の身体活動量と運動能力に及ぼす影響より

    芝生が子どもに与える効果②
    けがや熱中症のリスクの軽減

    体力だけではなく、芝生は怪我の防止にもつながります

    校庭芝生化の実施と学校事故に関する基礎的研究によると、小学校校庭の芝生化率が高まるにつれて、校庭事故率が低くなったことが報告されています。

    芝生にすることで、地面は土に比べて柔らかくなります。それによって子どもたちは積極的に遊ぶことができ、万が一転倒してしまった際も怪我につながるリスクを下げることができます。

    加えて、怪我だけではなく、熱中症のリスクも軽減することができます。

    人工芝 317分
    天然芝 192分
    311分

    出典:屋外グラウンド上の夏季暑熱環境低減に関する研究

    上の表は、環境社会情報クラスタが5日間の調査で人工芝、天然芝、土どのグラウンドが31度以上になった時間を計測した調査です。31度以上というのは、熱中症予防による指針の「運動は原則中止」となる基準です。

    調査の結果、熱中症になりやすい気温だった時間は天然芝のグラウンドが一番短いことがわかります。天然芝は直射日光を吸収してくれるので、人工芝や土に比べ照り返しが少なく涼しくなります。

    芝生の上に寝転んでみると、その涼しさがわかりますよね。天然芝のグラウンドなら怪我や熱中症のリスクが少なく、暑い時期でも思いっきり遊ぶことができます。

    芝生があることによる子どもたちへの効果:
    心理的効果

    芝生は子どもの身体だけではなく、心にも良い影響与えてくれます。

    芝生は子どもの運動量を増加させ、外遊びの時間が長くなります。また、遊ぶ内容の種類も多くなるため、子どもが工夫するようになり、他の子どもとも協力しあって遊ぶようになります。

    そのほか、芝生には癒しの効果もあり、ストレス軽減にも役立ってくれます。芝生は時期によって姿が変わり、香りや周りに住み着く虫たちも様変わりします。こうして自然に親しむことができたり、四季を感じることができたりと、子どもの心理的にも良い効果ばかりです下で詳しくご説明していきます。

    芝生が子どもに与える効果③
    外遊びの時間が長くなる

    奈良県教育委員会が行った調査によると、芝生のグラウンドは土のグラウンドと比較して外で遊ぶ児童の割合が多く、外遊びの時間が長くなることがわかりました。

    芝生の方が子どもは積極的に外で遊びたくなり、その結果、外遊びの種類にも変化があったと報告されています。

    表を見ると、土のグラウンドでは外遊びの内容が偏っていますが、芝生のグラウンドでは遊びの内容が幅広くなっていることがわかります。細かい遊びの内容も、

    • 運動場に寝転ぶ
    • 運動場に座る
    • 裸足で遊ぶ
    • 側方倒立回転・逆立ちをする

    など、土のグラウンドではなかなか行えないような遊びも増えています。それだけでなく、サッカーなど一連の動きの中でわざと転んだりするような姿も見られたようです。

    土のグラウンドは線を引くことができるため、子どもたちがテリトリーを明確にする遊びが多く見られました。しかし、芝生には線を引くことができないので、明確にテリトリーを設けず複数の遊びが混在。ルールを柔軟に解釈して、子どもが考えながら遊ぶ姿も見られたようです。

    実際に芝生の公園に子どもを連れて行くと、子どもが工夫して色々な遊びをしているのがわかります。こうした側面から、芝生は子どもの外遊びの時間や遊び方にまで良い影響を与えてくれるのです。

    出典:運動場芝生化促進に係る調査・研究

    芝生が子どもに与える効果④
    心理的・身体的に癒される

    さらに、芝生は心理的・身体的に癒されるというデータもあります。都市公園内の芝生地およびラベンダー畑が保有する生理・心理的効果に関する研究によると、芝生は高ストレス状態にある人に対しストレスを軽減する効果があるそうです。

    芝生のリラックス効果で、子どもの脳の発達も期待することができます。また、子どもが芝で遊ぶ際に積極的にコミュニケーションを取るようになるので、コミュニケーション能力の向上も期待することができます。

    芝生が子どもに与える効果⑤
    自然に慣れ親しむ

    芝生に親しむことは自然に慣れ親しむことでもあります。芝生は季節によって緑の濃さや色が違い、四季を感じることができます。

    植物や土、虫など自然と触れ合うことや、芝の匂い芝の感触など五感を全て活用して自然に親しむことで、子どもの心を豊かにしてくれます。

    特に、都心部は自然に親しむことができる場所が少なくなっています。グラウンドを芝生にすることで、子どもが自然に親しむ機会を与えることができます。

    子どもと遊べる芝生おすすめスポット

    芝は身体面にも心の面にも良い影響を与えてくれるということがわかりました。こんなに良い効果があるなら子どもには思いっきり芝生に親しんで欲しいところですね。

    ここからは、首都圏で広い芝生のある公園2つと、是非訪れていただきたい広大な芝生のある公園をご紹介します。是非参考にしてみてください。

    江東区立若洲公園

    出典:江東区

    若洲公園は、東京都江東区にある公園です。湾岸エリアに属しており、東京ゲートブリッジも目の前でみることができます。多目的広場は3.2haの全面芝生張りで様々な遊具を楽しむことができます。

    キャンプ場も併設しており日帰りでバーベキューや宿泊してキャンプファイヤーをすることも可能です。また、自転車を貸し出ししてくれるなど、一日中楽しむことができます。

    国営ひたち海浜公園

    出典:国営ひたち海浜公園

    国営ひたち海浜公園は、茨城県ひたちなか市にある公園です。6つのエリアに分かれており、樹林から芝、砂浜まで様々な自然を楽しむことができます。園内にはシーサードトレインが走っているので、木々や花々を見ながら周遊することが可能です。

    芝生エリアは8haの大草原で、ピクニックやボール遊びなど思いっきり子どもと遊ぶことができます。小さめのテントであれば設営することもできるので休憩する際に最適です。

    奈良公園

    出典:奈良公園

    最後にご紹介するのは、奈良にある奈良公園です。修学旅行で訪れたことがある方も多いかもしれないですね。

    奈良公園は500haの面積を有する公園です。公園内には様々な施設や仏閣寺院があり、芝生エリアが点在しており、鹿が生息していることで有名です。徒歩で移動することは難しいので、車や公共交通機関を利用して移動することがおすすめです。

    特に有名な芝生エリアは2つあります。1つ目は芝生に覆われた3つの重ね山の若草山。麓が平らなのでピクニック感覚で楽しむことができるほか、傾斜があり、簡単な山登りも楽しむことができます。

    2つ目は春日大社の東にある飛火野。広々とした芝生広場からは、奈良の山々を一望することができます。イベントなどが開催されていることもあり、ワイワイ楽しむことができるのもポイントです。

    広大な芝生と日本の歴史に是非触れてみてはいかがでしょうか?

    まとめ:
    芝生は子どもの成長に効果的!

    芝生は身体的にも心理的にも、子どもに良い影響を様々与えることがわかりました。芝生は子どもが外で遊ぶ機会が増えるため体力もつきますし、怪我をする心配も少なくなります。

    また、芝生を通して自然を感じたり、リラックスしたりもできるので、心理的にも良いことばかり。実際に子どもと芝生で遊んでみると子どものはしゃぐ姿に驚くことも多いはず。

    まずは芝生の公園で子どもと思いっきり遊んでみてはいかがでしょうか?

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