芝生を育てるために欠かせない作業、サッチング。その重要性はいろいろな場面で耳にするものの、芝生を始めたばかりの方にとっては分からないことも多いと思います。

今回は芝生YouTuber「つりきっぷ」さんの動画を参考に、初心者の方にも分かりやすいサッチングの方法、そしてサッチの活用法まで紹介していきます。

目次

    サッチングとは?

    サッチとは、芝生の枯れた葉や根、冬枯れした葉が堆積したもののことをいいます。特にサッチになりやすいのは葉の直立茎、匍匐茎、根茎など。これらは、リグニンという微生物が分解しにくい成分を含んでいるため、地表に溜まってしまうのです。

    サッチは芝が成長する限り必ず溜まるものなので、サッチを取る作業を行う必要があります。この作業のことをサッチングといいます。

    サッチが溜まるとどうなる?

    芝生が枯れたり茶色くなったりする原因6|病気

    サッチングは芝生を美しく育てる上で重要な作業ですが、なぜサッチを取り除く必要があるのでしょうか?それは、堆積したサッチをそのままにしておくと、さまざまな問題を引き起こす原因となるからです。放置されたサッチが与える主な影響は次の通りです。

    • 水はけが悪くなる
    • 病気にかかりやすくなる
    • 肥料の栄養が届きにくくなる
    • 芝生に十分な酸素が行き渡らず、酵素不足になる
    • 日当たりが限られて芝生が育ちにくく、芝の密度が上がらない

    中でも、通気性が悪くなってしまうと、土壌や表層の微生物の働きが弱まる上に、サッチの分解を遅らせる原因になってしまいます

    サッチは芝生の成長の妨げになるため、できるだけ取り除くようにしてください。ただ、1年目の芝生はサッチがほとんどないので、基本的にサッチングの必要はありません。2〜3年目から始めていきましょう。

    サッチングの頻度

    芝生面の掃き掃除は、きれいな芝生を維持するために大切な作業になります。サッチを取り除かずそのままにしておくと、水や肥料が地中に十分届かなくなったり、サッチが病害虫の温床になることもあります。

    芝生の状態によって頻度は変わってくるのですが、できれば芝生が生長する春先には確実に取ってあげてください。ただ、サッチングをしすぎると逆に芝生を傷つけてしまうことになるので、1年に1~2回で十分です。また、サッチング後に目土を入れると、芝生の回復が早まります。

    綺麗な芝生を育てるひと手間。目土の必要性と適切な時期・正しい入れ方についてご紹介

    サッチングの作業頻度を減らすために、サッチ分解剤を使用することもあります。サッチ分解剤とは、主に微生物や放線菌、酵母などによってサッチの分解を助ける働きのある資材です。手作業に比べて効果が出るまで時間がかかりますが、その分長期的なサッチ予防にもなります。

    集めたサッチは肥料にできる

    集めたサッチは、土に埋めるだけで簡単に肥料に変えることができます。

    まずサッチを土に入れて、微生物がサッチを分解してくれるのを待ちます。はじめは嫌気性発酵をしますが、それが終わったらサッチと土を混ぜて好気性発酵を促します。これを3ヶ月ほど繰り返すと肥料になります。

    このとき、土の中に米ぬかを入れると、微生物の活動が活発化させ、醗酵を促して良質な肥料が出来上がります。

    初心者におすすめ!サッチングに使える道具3選

    以上、サッチングのやり方と効果、そして活用法について概説しました。ここからは、初心者の方のためにもサッチングを行う際に使えるおすすめ道具を、レーキサッチングマシーンサッチ分解剤の3つに分けてご紹介します。

    シンプルな作業ではありますが、それぞれ費用や使用法が違うので、自分の芝の状態や広さなどに合ったサッチング法を検討してみてください。

    ①レーキ

    レーキ(熊手)はサッチを掻き出したり、集めたりするために使います。

    手の皮がめくれることがあるので、作業中はできるだけグローブ(軍手2重でも可)することをおすすめします。

    アルミ製伸縮式レーキ(掻き出し

    まずはアルミ製のレーキを使って、サッチを掻き出す作業を行います。

    人やペットが踏むことで倒れてしまっている芝生を起こして、その下にあるサッチを掻き出します。

    竹製レーキ(サッチ集め)

    サッチを掻き出したあとは、竹製のレーキでサッチを集めていきます。

    ポイントはあまり力を入れすぎないこと。力を入れすぎると土ごと掘り返してしまい、芝生を傷つけてしまうからです。そのため、上のほうにあるサッチを掻き出すイメージで作業してみてください。

    レーキは竹製だけでなく、プラスチック製のものもあります。予算に合わせて選びましょう。

    芝生に使えるレーキ(熊手)のおすすめ7選!用途に合わせたポイントもご紹介

    ②サッチングマシーン

    サッチングマシーンについては各メーカーから発売されています。芝生の面積が広い方には、レーキだけでなくサッチングマシーンの検討もおすすめします。

    電子芝刈機 リール式 LM-2310 サッチング刃セット(リョービ)

    リョービの「LM-2310」は初心者定番の芝刈り機ですが、刃をサッチング用のものに取り替えることができます。芝刈りとサッチングの両方を行えるので、非常に取り扱いやすい1台です。

    LCA-260RW 電動ローンコーム(ゴールデンスター

    少しこだわりたい方は、ゴールデンスターの「LCA-260RW」というサッチング専用機がオススメです。軽く押すだけで 芝生の床土表面に層を作ったサッチを掘り起こし、キャッチャーに取り入れることができます。

    ③サッチ分解剤

    レーキやサッチングマシーンを使わない場合、サッチ分解剤を撒くことでサッチを分解し、健全な芝生の育成を手伝ってくれます。

    イデコンポガーデンEV

    イデコンポガーデンEV」を撒くと、繊維が硬く分解しにくい芝生のサッチを、分解剤に含まれているバチルス菌が分解促進してくれるため、土壌の透水性・通気性が向上します。

    これによって、芝が病気にかかりにくい環境が整えられ、地下部の生育環境を改善することができます。ただし、他のサッチング法よりも時間が掛かるので、即効性はありません

    まとめ

    以上、芝生育成において重要なお手入れのひとつであるサッチングを紹介させていただきました。サッチングのタイミングがわかりづらい方は、更新作業の中のひとつとして組み込んでおくのがおすすめです。

    サッチを放置してしまうとさまざまな問題が起こってしまいますが、ひと工夫加えることで肥料に転換することもできます。作業期間でないタイミングを見計らって、自分に合った道具を探し、ぜひサッチングに取り組んでみてください。

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。