芝には休眠期間があり、冬の寒い時期は成長を止めます。
暖地型芝の場合、春になり気温が上がってくると徐々に目を覚まし新芽を伸ばし始めます。その時期に、芝生が成長しやすい状態に環境を整えることを更新作業といいます。
この記事は暖地型芝の場合を例として、更新作業について解説します。芝生シーズンの開幕に合わせて行い、今年の芝がしっかりと成長できるように作業を行いましょう。
目次
更新作業は今シーズンに向けた準備
更新作業とは、芝生が今シーズンもしっかりと成長してくれるように芝や土壌の準備をすることです。
具体的には以下のような作業を行います。
- 芝刈り(低刈り)
- サッチング
- エアレーション
- 目土入れ
- 施肥
また、これらの作業を行う前にはまず雑草を取っておくことをおすすめします。
更新作業を行う時期
更新作業は暖地型芝なら2~4月頃(地温が15℃になる頃)に行います。ちなみに、夏に弱く冬は元気な寒地型芝の場合は春秋頃がおすすめです。
更新作業は芝に負担をかける作業があります。そのため、芝が休眠している状態で行い、作業の後にダメージから早く回復できるよう、成長シーズンを見越して作業を行いましょう。
この更新作業に合わせて、枯れたり剥げた部分の芝生の張替を行うのも良いです。
低刈りして芝をリセットする
冬に入る時に残していた芝の葉は枯れてしまっており、残しておくとサッチになって蓄積してしまいます。そこで、爪があるレーキを使い芝を起こし、短く刈って除去します。これを低刈りといいます。
文字通り、普段の芝刈りよりも短く刈り込みます。また、軸刈りによるダメージを与えないよう、芝が休眠している2月~3月頃に行います。
低く刈り込むことで新芽に光が届きやすくなるので、休眠から明けた後の成長促進に繋がります。芝焼きよりも安全に行えるリセット作業として取り入れられています。
サッチングで不要物を取り除く
低刈りで刈った葉と、これまでに芝の間に溜まったサッチを除去します。
サッチが詰まった状態のままだと土壌の通気性・排水性が悪くなってしまいます。その他にも肥料や薬剤が浸透しない、病気や害虫の原因になるなどデメリットが多いので、定期的に除去を行いましょう。
作業の際は、サッチングマシンや鉄製の爪の細いレーキがあると便利です。
サッチの量によって行うか検討する
サッチングについては、芝生を張ってから1〜2年は行う必要はありません。適切な量のサッチは、芝を乾燥や暑さから守ってくれます。
また、サッチはある程度自然に分解されるので、神経質になって取り除く必要はありません。蓄積したサッチが1cmほどであれば放置しておきましょう。
土壌やサッチの量をみて、サッチングをするかを決めてください。
エアレーションで土壌調整する
作物を収穫したら掘り起こすことができる畑と違い、芝生が植えられている場所は土壌を耕すことができません。しかし、土壌が固くなってしまうと空気を根に届けることができない上に、根が自由に広がることができません。
更新作業時は地面の下に干渉するチャンスなので、この機会にエアレーション作業を行いましょう。エアレーションには土壌に刃を刺し土壌に空気を通すスパイキングと、土壌に穴をあけて土を抜き取るコアリングがあります。状況に合わせてどちらを行うか検討しましょう。
サッチング同様、エアレーションも芝張り後2年後以降から行うことをおすすめします。また、2年後以降も芝・土ともに状態がいい場合は必要ありません。
根切りで成長促進させる
芝ごと土壌に刃を刺すエアレーションには、芝の根切り効果も見込めます。芝の根は刺激がない状態だと成長が緩やかになり、次第に老化してしまいます。
そこで、根切りをすることで根に刺激を与え、成長を活性化させることができます。芝が成長を始めた時期に根切りを行うと良いでしょう。
ただし、根切りをすると根が弱ってしまいます。根切りを行う場合はあまり負担をかけないよう、前後1ヶ月程度は除草剤の使用は避けましょう。
コアリングで土壌改良する
エアレーションの中でも、コアリングは土壌改良に効果的です。
コアリングに際し、ローンパンチという道具を使用すると、刺した刃から土を取り除くことができて地面に穴が空きます。また、空けた穴に水はけ改善のために目砂を入れれば、直接的な土壌改良をすることが可能です。
目土を入れて保護する
更新作業は根や地面に干渉する工程が多いため、根が空気に触れ乾燥する恐れがあります。ここまでの作業を行った後は芝を保護するために、全体に目土を入れましょう。
また、更新作業を行う時期はまだ日によって気温が下がることもあるので、目土をいれることで保温することができます。保温することによってランナーや新芽を保護し、芝の芽吹きを促進させる効果も期待できます。
仕上げとして、目土の後に水やりを行いましょう。
デコボコがある場合は不陸修正も行う
芝生の面にデコボコがある場合は、この機会に不陸修正も行いましょう。
デコボコがあると芝刈り時の軸刈りや、水はけの悪化につながります。長くまっすぐな棒を置くなどして高さを確認し、へこんでいる部分に目土をかぶせて調整し転圧しましょう。
目土を被せる際には、葉が全て埋まらないように注意して、へこみが深い場合は数回に分けて直しましょう。
施肥で成長を促進する
最後に、芝生の芽吹きと成長のための栄養を与えるための肥料を与えます。
秋に与えた肥料の栄養によって、芝は休眠から目覚めて芽を出し始めます。そのエネルギーを後押しして、その先の成長を促進するために春には肥料散布が推奨されています。
しかし、休眠中に肥料を与えるとうまく吸収せず枯れる原因になる可能性があるので、2月下旬~4月頃、芝の休眠があけた頃に散布しましょう。この時に与える肥料は持続性のある固形タイプの化成肥料を選びます。
散布後には充分に水やりをして全体にいきわたるようにします。
まとめ:
更新作業で新シーズンの準備をしよう
更新作業は長く芝を育てる上で大切な作業です。特に、土壌は育成が長くなるにつれて踏み固まったり水はけが悪くなります。そのため、定期的に土壌をほぐしてあげることが必要です。
更新作業の際に土壌が整っていれば、芝はぐんぐんと成長し、青々とした姿を再び見せてくれます。この時期にしっかりと手入れを行い、芝生の新シーズンを迎える準備を整えましょう。
コメント一覧
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中田一好24/02/2023 15:34
お世話になります。去年五月に芝生を張って二年目入ります。約80坪張りましたが、二月末なのにもう雑草が大分生えています。低刈りをしてから除草剤を撒いても問題ないでしょうか?その後に目砂を入れ化学肥料を撒く予定です。このスケジュールでよろしいでしょうか?よろしくお願いいたします。